2012年7月19日木曜日

LIMprep:0.1-10 ng のDNAをターゲットにしたイルミナ用マルチプレックスライブラリ作製方法


<背景>
2012/7現在、Illumina flowcell v3では1レーンあたり、1.8億リード場合によっては2.8億リードもの巨大なデータが排出されます。しかしマルチプレックスが出来ないと、1サンプルを1レーンでシーケンスすることになるので、リード数がさほど必要のないシーケンスにとっては非常に無駄が多くなります。というわけでマルチプレックス化は重要です。ご存じの方も多いですが、MBDP DNAやChIP DNAといった0.1-10ngの微量サンプルをターゲットとするmultiplex対応のChIP-seq sample prep kitがIllumina社からは公式には売りだされていません。今回、私は自作のTruSeqアダプターとKAPA library preparation kitを組み合わせた、高感度でロバストなマルチプレックス対応のライブラリ作製法 (LIMprep: Ligation-based Illumina Multiplex library PREParation) を開発しました。

<方法のスペック>
断片化された10ng のDNAをスタートマテリアルとした場合、PCR cycleは4-6サイクルで十分です。これまでの方法だと10-15サイクル必要だったことを考えると高感度です。LIMprepは安定したライブラリDNAの収量・分布、正確なコンテンツが特徴です。日本ジェネティクスさんのアプリケーションノートにスペックをアップしました。方法に興味があれば、日本ジェネティクスさんを通じた方法のアクセスを可能にしたのでアプリケーションノートの連絡先に連絡してください。


<Single-cell RNA-seqとの関連>
Single-cell transcriptomeでは多数の1細胞を解析するためのハイスループット化が重要になってきます。LIMprepはIllumina HiSeqによるハイスループット検出のために立ち上げました。独自に開発したWTA方法により得られた高品質な増幅cDNAをLIMprepでライブラリ作製をして、HiSeqによりハイスループット検出することに成功しています。

*注釈*
一般的に1細胞は、おおよそ10pgのtotal RNA, 0.1pgのmRNAしか持ちません。RNA-seqのスタートマテリアルには、おおよそngオーダーのDNAが必要で、Single-cell RNA-seqには量的な問題を解決するためWTA: Whole-Trascript Amplificationが必要です。WTA後にはngオーダーの増幅cDNAが得られます。


<User・導入実績>
サービスユニットを含めた複数のユーザーが使用しています。安定稼働中です。