2013年4月24日水曜日

Quartz-Seqの名前由来

Quartz-Seqは2013/4/23現在、最も感度が高く最も再現性の高い1細胞RNA-Seq法です。実験手法の開発では、定量性を上げることを主目的に、問題となるパラメータを全てあぶりだし、改善をはかりました。刀鍛冶が刀を鍛えるイメージです。ひたすら切れ味=定量性を求めました。データ解析のプロとがっちり組んで開発したことで総合的に完成度の高い方法になったと思います。実験研究者として、実験手法を開発し世に送り出せたことは非常に喜ばしいことです。

Quartz-Seqの名前の由来の話ですが、Quantitative amplification for RNAzの略がQuarzで、英語でのQuartzのドイツ語表記となります。zはギークでsをzという場合があるから置換して使っています。Quartzは水晶やクオーツ時計といった意味合いがあり、正確性をイメージさせる名前となっています。

正直、かっこいい名前をつけるのは苦手です。ただ方法の名前に自分の名前がつくのだけは嫌だし、つけないと方法が出た時ユーザーが呼びづらく混乱のもとなので、二階堂さんにつけてもらいました。スキャッタープロットが綺麗だからその形から方法の名前を考えたり、方法の特徴から考えたり、イメージで考えたりと、二転三転なかなか決まらなかったのを覚えております。

Quartz-Seqで使用している増幅法は、poly-A tailingをベースとしており、同カテゴリーには、 斎藤通紀先生のラボで作った栗本法や栗本法をベースに作ったAzim Surani博士の研究室のTang法が含まれます。栗本法は、1細胞レベルの10 pg total RNAを用いて、きちんと1細胞トランスクリプトームでの方法の再現性を示した最初の方法です。再現性が比較的高い一方で、方法が少々複雑でありました。なのでQuartz-Seqの開発では、簡便性・ロバストネスを併せ持ったまま定量性を上げていきました。実験手法の開発の実働は私一人です。人を倍に増やしても開発が必ずしも進むわけではないことを実感しました。

Quartz-Seq の論文では、サプリメントがいっぱいあります。

Figure S1-18とTable S1-3、S-movie1&2で合計25個ですね。

これまでの1細胞RNA-Seqの手法では、中身のパラメータがどれだけ方法のスペックに貢献しているかや実際にどのように細胞をとっているかなど細かい部分がほとんど提示されていませんでした。すべてのパラメータを開示することでユーザーに納得してもらうとともに、今後の特に1細胞RNA-Seqの開発の後押しをするものとして期待しています。

これらマニアックなサプリを読む人は、絶対マニアックな人だと思いますが、そういう人に見てもらえると嬉しいです。

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